全共闘時代用語の基礎知識
【な行】
ナンセンス【なんせんす】〔かけ声〕
大衆団交や討論のときなどに、相手が間違ったことをいったり、相手のいったことに反対したい場合のかけ声。馬鹿げたこと、間違っている発言などを指す。「な~んせんす!」といった口調であった。この「ナンセンス」と「異義なし」の二つを知っていれば、即刻、全共闘になれた。自由国民社の「現代用語20世紀事典」によると、60年安保当時から学生が使ったとあるが本当か。《反対語:異義なし》
肉体オルグ【にくたいおるぐ】〔名詞〕
セックス行為、あるいはセックスアピールを馬の鼻先のニンジンにして、新人を獲得する方法のこと。あるいは肉体関係をつけて女性を闘争に参加させること。オルグ要員としては、男性には女性を、女性には男性をあてるのが普通。どの党派もこれをやり、ときには宗教団体でさえも、新人のオルグは異性が担当するといわれていた。それで期待に胸をふくらませた学生もいた。
しかし、現実は厳しい。そうそう簡単に肉体を得られる機会はなかったといってもいい。やらずぼったくりとは、このことであろう。むしろ、肉体オルグの結果、同棲へと進み、結婚した学生も多かったのではないか。
日学同【にちがくどう】〔組織〕
日本学生同盟の略称。全学連に対抗して右翼学生が作った学生組織。
日大闘争【にちだいとうそう】〔固有名詞〕
学費値上げ反対闘争から、日大の全学部を巻き込む大闘争に発展した。当時の会頭であった古田体制打倒がスローガン。全学共闘会議が組まれ、これが全共闘運動の始まりとなった。

※写真は、日大闘争の記録写真集『日大闘争』。ヘルメットとオーバーラップさせてある写真は、両国の日大講堂での大衆団交の様子を写したものだろうか。撮影は日大全共闘記録班、日大全学共闘会議書記局の田村正敏が編集責任、昭和44年2月10日、五同産業(株)出版部発行。参考サイト→
http://www.z930.com/shasinnshuu_gei_n.htm 《壁に書かれた有名な文書》
生きてる 生きてる 生きている
バリケードという腹の中で
生きている
毎日自主講座という栄養をとり
“友と語る”という清涼飲料剤を飲み
毎日精力的に生きている
生きてる 生きてる 生きている
つい昨日まで 悪魔に支配され
栄養を奪われていたが
今日飲んだ“解放”というアンプルで
今はもう 完全に生き変わった
そして今 バリケードの腹の中で
生きている
生きてる 生きてる 生きている
今や青春の中に生きている
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「ストニモマケズ」
デモニモマケズ
ヘルメットニモ
ゲバ棒ニモマケズ
ウソヲツキ
右翼ヲ使イ
機動隊ヲ使イ
団交デハヤメルトイイ
団交ナケレバヤメヌトイイ
ミンナカラ
「フルタ、タオセ」ト言ワレ
ストニモマケズ
イツマデモ退陣シナイソオイウヒトニ
ワタシハナリタイ
日共【にっきょう】〔組織〕
日本共産党の略称。主に反日共系がとなえていたが、マスコミでも使用していた。(類語:日共系、反日共系、中共、社共)
日帝【にってい】〔固有名詞〕
日本帝国主義の略。日本の資本主義的進展は、再び戦前のような帝国主義的な侵功をするのではないかという警戒感もあった。
ニューレフト日本赤軍【にゅーれふと】〔呼称〕
いわゆる「新左翼」のこと。ことに欧米で巻き起こった新左翼運動をさす。
日本赤軍【にほんせきぐん】〔組織〕
もともとは共産同赤軍派であったが、昭和46年2月に、重信房子などがPFLPと連帯するためにパレスチナに渡り、結成された。その後、昭和47年5月にはテルアビブ空港乱射事件、48年7月には日航ジャンボ機ハイジャック事件、シンガポール・シェル石油襲撃事件(49年2月)、クェート日本大使館占拠事件(49年2月)、クアラルンプール大使館襲撃事件(50年8月)、ダッカ事件(52年9月)などを起こした。
ノンセクト・ラジカル【のんせくとらじかる】〔名詞〕
無党派の急進派という意味。どのセクトにも属さないが、ゲバルトでは活躍する。一般的に「黒ヘル」ともいっていたが、厳密には思想的にアナキズムを信奉しているのが黒ヘルで、ノンセクト・ラジカルは、党派に入り損ねたがチャンスがあれば暴れたい人達の小さなグループであった。組織は嫌いだが、過激なことは大好きというほとんど無責任な人達である。
おおむねブント系が多く、そのあたりブントにはノンセクトラジカルを養える素地があったのであろう。この点、革共同から離れた人は、地道に労働運動をするというタイプが多かった。構造改革派も同じ。共産同赤軍派は、戦旗派と内ゲバを起こしながら分裂したが、人数的には少数だったので、闘争の初期から末期にかけて、こうしたノンセクト・ラジカルを組織化のターゲットにした。この非組織性的傾向が、あるいは連合赤軍の悲劇のひとつの要因になっていると思われる。ノンセクト・ラジカルの中で、ドジな学生を「ノンセクト・ドジカル」などという冗談もあった。
ノンポリ【のんぽり】〔名詞〕
ノンポリティカルnon politicalの略。本来は、非政治的学生という意味。左右両翼の学生運動に無関心な学生、あるいは学生運動や政治運動に参加しなかったり、興味を示さない学生。大学が封鎖されたりして授業がないのは好きだが、党派の名前も理論も行動も関心を持たない人達のこと。真面目に授業に出席し、優の数もしっかり確保し、就職もいいところに入ったようである。ただし、ノンポリの中には、大学にこず、当時流行りはじめた乱交パーティなどで遊び暮し、身を滅ぼした者もいたようだ。また、まったくデモに参加しなかったわけではなく、平和デモというと案外参加していた人もいたようである。たぶん全学生の8割くらいがノンポリであったと思われる。